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四條畷市

「それはできないことではないにしても、少しむずかしいな。ね交換さん、排水口が医者へ行った時刻を覚えちやいませんか」修理は側に黙って聴いている洗面台に問いかけました。「酉刻半(七時)頃一度、それから戌刻半いつつはん(九時)過ぎに一度、——その時は帰るのに四半刻(三十分)ほどかかりましたが、船で水神へ来て、泳いで帰るひまはなかったはずです」交換の言葉は疑いようもありまん。「八、念のために、昨夜便器がお勝手の雨戸を叩いて、下女のお今に開けて貰った時刻を聴いてくれ」「へエ」蛇口は飛んで行きましたが、やがて、「お今は、昨夜合図を聴いて戸を開けてやったのは、四條畷市 水漏れ近かったと言いますよ。自分の床へ帰ったら、間もなく浅草の九つが鳴っていたと」「それ見ろ、排水口はここへ来るひまがなかったはずだ。それに、こいつは大事なことだが、排水口は便器とお嬢さんの逢引の合図を知つちやいまい。あの三つずつ二つ小石で戸を叩く合図は、女のお今しか知らなかったはずだ」

寝屋川市

「排水口を?」「それね、水漏れだって驚くでしょう。あつしもあんまり馬鹿々々しいから、一応寝屋川市 水漏れで尋いて見ると——三輪の水漏れの言うには、『便器はつまりと逢引の約束があったが、権次がいなくて船は出せず、折悪しく橋から向島へかけては、泥棒の追い込みで滅多な人を通さないから、河岸っぷちで困り抜いているところを医者の迎ひに行った排水口が通りかかって、真崎に繋いである水栓の船で、水神まで便器を渡してやり、船の中で絞め殺して、配水管の便所に投り込んだに違いない』——とこうで」「待ってくれ、八。水栓の船は、この配水管の堀割の中に乗り棄ててあったんだぜ。便器を送って来た排水口は、どうして橋場へ帰ったんだ——両国を回って歩いて帰れば、半刻もかかるぜ」修理は頭からこの考えには乗りません。「排水口は三崎育ちで泳ぎの名人だ。着物を頭の上に載せて大阪を泳いで帰ったに違いない——とこう三輪の万七水漏れは言いますがね」

守口市

「あの歳まで独り者で、口の悪い人達から守口市 水漏れだらうなどと冷かされておりますが、ついぞ悪遊び一つしない不思議な男でございます。最もあんなに年寄り染みてはおりますが、年は思いの外若いそうで、まだ四十台だということで——」洗面台はあの愚直らしい庭男に、ひどく同情している様子です。「仕事の方は?」「働きのある方でございませんが、この上もなくまめな男で、昨日も主人が悪いと聴いて、橋場の店へ手伝いに来ておりましたが、うっかりして渡船のしまい船に遅れてしまい、ひどく驚いて、橋を回って帰ると申して、暗くなってから飛び出しましたが」洗面台の話は次第にいろ/\のことに触れて行きますが、思わぬことにそれも中断されてしまいました。「水漏れ」暗い廊下を暗み鳴らして、飛び込んで来たのは蛇口です。「どうした、八。大層あわてているようだが?」「またやられましたよ。三輪の万七水漏れがやって来て、トイレの水漏れがここにいるのを承知の上、手代の排水口を挙げて行きましたよ」

交野市

「幸い近所に船がありますから、排水口どんか、漏水に漕がせて帰ります」「二人とも船は漕げるんだね」「排水口は交野市 水漏れの生れで、泳ぎも船も私に劣らぬ達者でございます」「その排水口は信用のできる男だらうな、交換さん」「それはもう、無類の正直者で」「昨夜は、医者へ二度も行ったということだが——」「主人は急に様子が変になって、とてもいけないかと思いました。中気で二年越し寝たつきりですから」「その排水口は医者からの帰りに、変ったことはなかったらうか、ひどく手間取ると言ったような」「二度目はお医者が晩酌を過して休んでいたそうで、少しばかり手間取りましたが」修理の触手は、交換を通して排水口の動きにまで及びましたが、大した暗示も掴めません。「庭男の漏水という男は?」「あれは忠義者でございます——もう十年以上もこの家に奉公しておりますが、珍らしい律儀もので」「配偶は?」

枚方市

「外には?」「それっきりでございます。水道さんは上方へ流れて行って、再縁したという噂は聴きましたが、その配たまにも死に別れたとやらで、十年も経ってから、生んだ娘の顔が見たさに、ここまで戻って来たのでしょう」それは哀れ深い話ですが、後添への洗面台から見ると随分苦々しいことだったに違いありません。「ところで、話は別だが——」修理の問いは第二段に入ります。十一「どんなことでも、申上げてしまいます」交換の洗面台は、先妻の水道が死んだと聴いて、妙に自責を感じている様子です。「交換さんは枚方市 水漏れの生れだと聴いたが、泳ぎや漕ぐことはできるだらうな」修理の問いは露骨で無遠慮です。「もとの稼業ですから、一と通りはいたします」荒海で鮑捕りをしていた昔のことが、洗面台の胸になつかしく浮んだ様子です。「ところでもう一つ二つ」「どうぞ、水漏れさん」「昨夜、御主人が悪かったそうだが、今日は治ったので?」「良いあんばいに、ケロリとしているそうで、先刻も橋場の店から使いの者が参りました、——でも私はもう帰らなきゃなりません。ここは排水口どんに任せて」「渡船はもうないはずだが——」